日経新聞(11月21日)に、当社が関わっている総合特区の取組みに関する記事が掲載されました。
高齢者に活力、医療費減
地域限定で規制緩和や税制優遇する「総合特区」をめぐり、全国の自治体が健康や福祉をキーワードにした提案に知恵を絞っている。政府が年内に認定する「地域活性化特区」では高齢者雇用の拡充や高齢者が歩きやすい街づくりを目指す内容などを申請。大規模な工場や事業所の誘致を競うだけでなく、各自治体は特区活用で福祉施策を柔軟に運用し、積極的な健康づくりや地域経済の活性化に結びつけたい考えだ。
「富山型デイサービス」の拡充で、介護人材の確保と障害者の就労の両立を――。富山県は総合特区の申請で、高齢者と障害者が一緒に利用できる県独自のデイサービス拡充を目指す。県が主導する富山型デイサービスは障害者が高齢者の介護に携わり、障害者の働く場を生み出している。
ただ現行制度では定員が20人以上でなければ、雇用されていない障害者の活動に応じて訓練等給付費が自治体から給付される事業所にならない。県は総合特区制度を活用し、5人以上の事業所でも対象になるようにして小規模な非営利組織(NPO)などの参入を促す。特区制度で参入事業者の裾野を広げれば「高齢者や障害者が住みやすくなり、地域の活力にもつながる」(厚生部)。
併せて認知症高齢者向けのグループホームの定員枠の範囲内で、障害者を受け入れる規制緩和も提案した。現在は高齢者と障害者のグループホームは所管する法律が異なり、一体的な運用ができない。県は「設置が進む高齢者のグループホームを活用し障害者の自律的な生活を促したい」(厚生部)と説明する。
新潟市や岐阜市など7自治体や筑波大学などは共同で高齢者が歩きやすい街づくりに特区を活用する「健幸(けんこう)長寿社会を創造するスマートウエルネスシティ総合特区」を提案。1日平均で9千歩を歩く70歳未満の成人の割合を現在の30%から16年度末に60%以上に高める目標などを通じ、医療費削減などにつなげる試みだ。
提案では中心市街地の一部を対象に道路交通法などで設置が認められていないライジングボラード(自動昇降式車止め)の導入を掲げた。道路の下から車止めが伸びて車の進入を防ぎ、緊急車両などを感知し自動で下がる。高齢者が歩きやすい街づくりにつなげる。ウオーキングコースの路面への表示や歩道へのベンチの設置などでも規制緩和を提案している。
「高齢者が働き続けられれば工場を海外に移す必要もない」。福岡県南部のみやま市で栗加工品を製造する堀永殖産(堀永晋作社長)では60歳以上の従業員が工場で加工作業を手掛ける。約140人の社員の4割程度が60歳以上。堀永社長は「高齢化が進む地域で人材を確保するなら高齢者を活用するしかない」とみる。福岡県は高齢者の雇用をしやすくする特区を提案している。
政府は年内に「地域活性化特区」を20~30カ所認定する方向だが、福岡県は特区の選考状況にかかわらず、来春に「70歳現役応援センター」を本格稼働させ、高齢者が働きやすい地域づくりを進める方針だ。